旅行から帰ってきた次の日。
疲れた体を引きずって、朝から洗濯機を何度も回した。濡れた水着、砂のついたタオル、汗を吸った服。干すスペースが足りず、何度もやり直してはベランダに立つ。
旅行中に使ったクーラーボックスや浮き輪、子どもたちの遊び道具を洗って干すのも私の仕事。
それを横目に、夫はスマホをいじりながらソファに座っていた。
テレビから流れるのは、他人の家族が笑いあうCM。
こちらの生活とは無縁の、絵に描いたような幸せな空気。
「旅行楽しかったねぇ」
子どもたちの笑顔だけが、唯一の救いだった。
でも、その笑顔を支えるために私はどれだけのことをしてきたか。
荷造りも、当日のスケジュールも、移動手段も、食事も全部私が整えていた。
旅行が「楽しい思い出」になるかどうかは、私の負担の上に成り立っている。
夫にとっては、ただ行って帰ってきただけのイベントに過ぎないのだろう。
私の両親と兄弟家族と旅行”してやった”という態度だった。
夕方、洗濯物を取り込んでいたとき、夫は一言も「ありがとう」とは言わなかった。
それどころか、荷物の片付けすら手伝おうとはしなかった。
子どもの「お父さん、遊ぼう」の声掛けにも、一日何もしていないにも関わらず、「お父さん休憩中」と一蹴していた。
表向きはいい夫、いい父親(?)。
でもその裏で、すべてを背負っているのは誰なのか。
静かな怒りと、ひとり残されたような寂しさが入り混じっていた。
コメント