夏休みの義実家帰省

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夫と不倫の話をするようになって、もう3ヶ月が経った。
不倫相手とのやりとりは泥沼状態で、今は弁護士を通しての交渉が続いている。
そんな中、夫は開き直って、「もういいじゃん。俺を開放してくれよ」なんて言い出した。どの口が言うんだろうって、思わず言葉を失った。

そんな中、義実家への帰省日になってしまった。

高速道路を6時間。車の中では、私と子どもたちだけがぽつぽつ話すくらいで、夫はほとんど無言だった。
昔はもっと、みんなでワイワイして楽しかったのに。
夫はため息ばかりついて、まるで自分が被害者みたいな顔をしている。

義実家に着くと、いつものようにお義母さんが玄関で笑顔で迎えてくれた。
「お疲れさま!」って明るく声をかけてくれる義両親を見ていたら、胸がぎゅっと苦しくなった。
この人たちは、何も知らない。
自分の息子が不倫してることも、私がどれだけつらい思いをしてるかも、きっと想像もしてない。

「今年は遅かったのね」
「仕事が忙しくて…」
夫の嘘に、私も自然にうなずいてしまう。本当は、いろいろあったからなのに。
義父が出してくれた麦茶を飲みながら、この優しい人たちに本当のことを伝える日はくるのかなって考えていた。

子どもたちは、「おじいちゃん、おばあちゃん、久しぶりー!」って元気いっぱい挨拶して、義両親も顔をほころばせていた。

夕食の準備を手伝いながら、お義母さんと他愛もない会話をする。
「息子、ちゃんと家のこと手伝ってる?」
「最近忙しそうだけど、体調は大丈夫なの?」
そんなふうに聞かれて、「はい、手伝ってくれてます」「元気にしてますよ」って答えるけど、ほとんど嘘。
家事なんて、言わなきゃ動かないのに。
でも、お義母さんにとっては“いい息子”でいてほしいだろうから、そう答える自分がいた。
こんな自分って、いったい何なんだろうって、ふと思う。

「明日は○○に行きましょうね」
義両親が、子どもたちが楽しめるようにってプランを立ててくれている。
ここで私が無愛想な顔をしたら、全部が壊れてしまう気がした。

「楽しみですね。ありがとうございます」
そう言って、私は仮面をかぶった。

夜。
義実家の布団の中で、ぼんやりといろんなことを考えていた。
この家族にとって、私たち夫婦は“仲のいい夫婦”に見えてるんだろうな。でも、現実は違う。
そのギャップが、私をますます孤独にさせる。
隣では、何もなかったように夫が寝息を立てている。
その姿を見ていると、怒りよりも、ただ虚しさがこみあげてくる。
いつから、こんなに冷たい人になったんだろう。
今だって係争中なのに、まるで他人事みたい。

翌朝。
義母が作ってくれた朝ごはんを、家族みんなで囲んだ。
「二人とも仲がいいのね」
そんな何気ない一言に、胸がギュッとなった。
この穏やかな時間が、いつまで続くんだろう。
たとえ不倫相手との問題が解決したとしても、夫との関係はもう元には戻らない──そんな気がしていた。

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