それでも夫を信じたかった。「5年前から」を知った夜

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「5年前から」という言葉が、頭から離れなかった

画面に残っていたやり取りを見ながら、私は記録を残した。

ところどころ目に入るメッセージを、何度も読み返した。

気づけば、手が震えていた。

頭だけが熱い。

なのに、体の芯はどんどん冷えていく。

——あぁ、私ってショックを受けるとこうなるんだ。

自分の体なのに、思うように動かなかった。

それでも頭の中では、

冷静にならなきゃ。

そればかり考えていた。

感情のままに動いたらダメ。

今ここで何かを間違えたら、取り返しのつかないことになるかもしれない。

そう思っていた。

隣には、いつもと変わらず子どもが眠っていた

そのとき、隣で子どもが小さく寝言を言った。

ハッとして、子どもの方を見た。

いつもと変わらない寝顔。

夫も眠っている。

子どもたちも眠っている。

いつもの寝室。

いつもの夜。

なのに、私の中だけが、さっきまでとはまったく違っていた。

今日は、もうここまでにしよう。

そう思った。

これ以上見たら、自分がどうなるのかわからなかった。

私は夫のスマホを元に戻して、枕元に置いた。

そして、少し動いた子どもを軽くあやした。

いつものように。

何もなかったみたいに。

でも、頭の中ではずっと、

「5年前から」

という言葉だけが繰り返されていた。

5年前、私は何をしていた?

5年前って、何をしていた?

私たちは、どんな夫婦だった?

子どもたちは何歳だった?

私は何をしていた?

そんなに不満だった?

いつから?

どうして?

なんで?

考えても答えなんて出ないのに、

「なぜ?」

だけが止まらなかった。

5年という時間が長すぎて、すぐには受け止められなかった。

私にとっては普通の家族の時間だった。

一緒にご飯を食べて、

子どものことを話して、

仕事をして、

家事をして、

毎日を過ごしていた。

その同じ時間を、夫はどんな気持ちで過ごしていたんだろう。

そう考えると、今までの思い出まで違うものに見えてくる気がした。

それでも、まだ夫を信じたかった

残した記録を、私はすぐには見返せなかった。

怖かったんだと思う。

ちゃんと見てしまったら、

もう「知らなかった自分」には戻れない気がした。

それでも心のどこかには、

まだ夫を信じたい気持ちが残っていた。

——もしかしたら。

プラトニックな関係なのかもしれない。

ただ仲がいいだけなのかもしれない。

何度も会っているように見えるけど、

私が想像しているような関係ではないのかもしれない。

今考えれば、

信じていたというより、

そうであってほしかった。

それだけだったのかもしれない。

私は「大丈夫だと思える答え」を探していた

眠れるはずもなかった。

スマホを握ったまま、私はネットでいろいろな言葉を検索していた。

何を調べたのか、細かいことはあまり覚えていない。

ただ、

「こういう関係でも不倫じゃないことはある」

「男女でもただ仲がいいだけのことはある」

そんな、自分が少しでも安心できそうな答えを探していたんだと思う。

本当のことを知りたいはずなのに、

本当のことが怖かった。

だから私は、

自分が信じたい答えを探していた。

夫を疑い始めている自分と、

それでも夫を信じたい自分。

その二つが、ずっと頭の中でぶつかっていた。

そして私はまだ、

この先に待っているものを知らなかった。

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